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「木星と周りの星を観察しよう!」観察の手引き

観察の手引き PDF

背景

 木星の特徴の1つは、多くの衛星を持っていることで、今では60個以上もの衛星が見つかっています(2008年7月現在)。初めて木星の衛星を観測したのはガリレオ・ガリレイで、彼は、1609年に望遠鏡を使った天体観測を行いました。そして、翌年、木星の周りに4つの天体が回っていることを発見しました。この発見は、一つの天体の周りを別の天体が回っているという、地動説で考えられていた太陽系の形のいわばミニチュア版の発見にあたります。当時は地動説と天動説のどちらが正しいのか、明らかになっていませんでしたが、ガリレオの発見は地動説を支持する重要な発見でした。これら4つの衛星は現在、ガリレオ衛星と呼ばれています。ガリレオ衛星は、木星に近い順に、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト、という名前が付いていて、それらは口径4cm程度の望遠鏡でも見ることができます。

ねらい

 この活動のねらいは、ガリレオ・ガリレイの追体験を通じ、子どもたちにも、ガリレオと同様の驚きと感動を感じてもらうことです。自ら組み立てた望遠鏡を使い、木星を観察、スケッチすることで、子ども自ら、木星に衛星があることに気付かせることが目標となります。大人の補助は必要最小限にして、なるべく子どもたち自身の力で、衛星を発見してもらいましょう。

観察のコツ

 はじめは、木星を視野の中に入れること、ピントを合わせることが難しいかもしれません。しっかり固定できる三脚を使用することが重要です。視野に木星が入ったら、すぐに望遠鏡を固定し、その後、ピントを合わせましょう。また、昼間の間に、遠くの景色を利用して、練習をしておくことも大切です。
木星がどこにあるのかは、国立天文台の以下のホームページを見るとわかります。
「今日のほしぞら」http://www.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/skymap.cgi または
「ほしぞら情報」http://www.nao.ac.jp/hoshizora/index.html
などを見ると分かります。

活動の流れ

(ア) 観察、スケッチ

 観察、スケッチは、観察スケッチ用の1枚目のプリントを使用します。木星の見ごろは、2009年8月~10月ごろです。この間に4回の観察を行いましょう。まず、同じ日に1時間以上の間隔をあけて、2回目の観察、スケッチをします。衛星と木星の位置によっては、1、2時間の間隔でも、衛星の位置が変化していることに気づく場合もあります。しかし、衛星によっては、同じ日の観察では動きが小さく、位置の変化に気づくことは難しいかもしれません。そこで、3、4回目は違う日に行いましょう。3、4回目の観察では、1、2回目同様に木星の近くに3、4個の星があり、その位置が前のスケッチと比べて、明らかに変化していることが分かることでしょう。
 プリントには4回分しか欄がありませんが、児童・生徒がやる気があるようならば、スケッチ欄を増やし、なるべく多く観察してもらうとよいでしょう。
 また、スケッチ欄には倍率を書く欄がありますが、

(イ)気づいたこと、疑問に思ったことを記入

 スケッチを通じ、気づいたこと、疑問点をスケッチ欄の下に記入します。

(ウ)スケッチ、写真を見て、木星の衛星であることを予想

 事後学習用ワークシート1枚目に、1時間おき、1日おきの木星と衛星の動きを示した図があります。この図やスケッチから、木星の周りには常に天体があり、それらが時間とともに、規則性をもって動いていることに気づくことができます。

(エ)木星衛星の地球からの見え方を確かめる

 事後学習用ワークシート2枚目を使って、木星の衛星が地球からどのように見えるのか、作業を通じて、子供たちに理解してもらいましょう。下図の赤い矢印で示した解答例のように記入させ、実際の観測結果と同様に、木星の近くを動いていることを確かめさせます。

(オ)今日分かったこと、更に知りたいことを書く

 最後に、まとめとして、「木星には複数の衛星があり、地球からみると木星の近くを動いて見える」などの分かったことを書きましょう。さらに、今後、調べてみたいこと等も記入させます。
 支援者は、その内容を補足・支援する形で、子供たちが今後も関心を持って活動できるよう、励ま すようにしましょう。

注意事項

 「ねらい」にもあるように、この活動は、児童・生徒自ら、木星には複数の衛星があることに 気付くことを目標としています。そこで、もし、子供たちが木星の衛星の存在を知らないのなら、 木星に衛星があることは伏せて実施するほうがよいでしょう。

      また、絶対に望遠鏡で太陽は見ないよう、注意してください