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「金星を観察しよう!」観察の手引き

背景  
 金星は別名、宵の明星、明けの明星と呼ばれ、夕方や明け方の空で一番明るく輝く星です。金星の 特徴は、満ち欠けをすること、見た目の大きさが変化することです。
 満ち欠けは、よく知られているように、月にもあります。月や金星は、太陽から照らされている部分のみ光ってみえます。地球・月・太陽(図1)、または地球・金星・太陽(図2)の位置関係が変わることで、月や金星の光っている部分の形も変化してみえるため、満ち欠けが起こります。
 見た目の大きさの変化では、月と金星は異なっています。
月の場合、見た目の大きさはあまり変化しません。これは、月が地球を中心にまわりを回っており、月-地球間の距離はほぼ一定であるからです。(図1)
 ところが、金星の場合、見た目の大きさは変化して見えます。これは、金星が太陽の周りを回る軌道が、地球よりも内側であり、地球-金星間の距離は大きく変化するからです。(図2)

 初めて金星の満ち欠けを発見したのはガリレオ・ガリレイで、彼は、1609年に望遠鏡を使った天体観測を行いました。そして、翌年、金星の満ち欠けと見かけの大きさの変化を発見しました。当時は地動説と天動説のどちらが正しいのか、明らかになっていませんでしたが、金星の満ち欠けは、天動説では説明することが難しく、地動説を支持する重要な発見となりました。この金星の満ち欠けは、口径4cm程度の望遠鏡でも見ることができます。

ねらい

 この活動のねらいは、ガリレオ・ガリレイの追体験を通じ、子どもたちにも、ガリレオと同様の驚きと感動を感じてもらうことです。自ら組み立てた望遠鏡を使い、子ども自身で、金星の満ち欠けと大きさの変化に気付かせ、その理由を理解してもらうことが目標となります。

観察のコツ  

 はじめは、金星を視野の中に入れること、ピントを合わせることが難しいかもしれません。しっかり固定できる三脚を使用することが重要です。視野に金星が入ったら、すぐに望遠鏡を固定し、その後、ピントを合わせましょう。また、昼間の間に、遠くの景色を利用して、練習をしておくことも大切です。このとき、望遠鏡を通してみると、景色が上下左右逆さまに見えることも確認させましょう。

金星がどこにあるのかは、国立天文台のホームページの「今日のほしぞら」、または「ほしぞら情報」などを見ると分かります。

活動の流れ

(ア) 観察、スケッチ
 観察、スケッチは、1枚目のプリントを使用します。金星の見ごろは2008年12月~2009年2月ごろで、このころは夕方の西の空に見えます。空が暗くなくても見ることができます。この間に、1カ月に1回、合計3回の観察を行いましょう。ただし、児童・生徒がやる気があるようならば、スケッチ欄を増やし、なるべく多く観察してもらうとよいでしょう。
また、スケッチ欄には倍率を書く欄がありますが、

(イ) 気づいたこと、疑問に思ったことを記入
 スケッチを通じ、「金星の見た目の大きさが変化している、形が変化している」などの気づいたこと、また、疑問点をスケッチ欄の下に記入します。見た目の大きさについては、3回のスケッチからだけでは、気づくことが難しいかもしれません。事後学習用のワークシートに写真やガリレオのスケッチの模写が載せてあるので、適宜こちらも利用して、大きさの変化に気付いてもらいましょう。

(ウ) 金星の地球からの見え方を確かめる
 ワークシートの事後学習用を使って、金星が地球からどのように見えるのか、作業を通じて、子どもたちに理解してもらいましょう。

まず、事後学習用・1枚目の風船の例から、距離と大きさの関係を考えてもらいます。そして、風船と同様に、金星の大きさが変化して見えるのは、距離が関係していることを理解し、下図の解答例のように、カッコの中をうめてもらいます。

次に、形の変化について、事後学習用・2枚目を使って、考えてもらいます。
下図の赤で示した解答例のように、地球から見た形や大きさの変化を記入してもらいましょう。

(エ) 今日分かったこと、さらに知りたいことを書く
 最後に、まとめとして、「金星が太陽の周りを回る軌道は、地球より内側。そのため、地球から見ると、大きさや形が変化して見える」などの分かったことを書きましょう。さらに、今後、調べてみたいこと等も記入させます。支援者は、その内容を補足・支援する形で、子どもたちが今後も関心を持って活動できるよう、励ますようにしましょう。

注意事項

 「金星の満ち欠け」は現在、中学3年生で習うことになっています。小学生には少し難しいかもしれません。月の満ち欠けを先に教えてあげるなど、適宜、支援をしてあげましょう。

      また、絶対に望遠鏡で太陽は見ないよう、注意してください